*「紛争の被害者を平和構築の担い手に」JCCPはアフリカ・中東の平和構築を支援する認定NPO法人です。 

ミルク業者、ナジャの話

 2016年7月


ソマリア北部のプントランド州ボサソ市で実施した「ジェンダーに配慮したボサソ市場の修復と起業家の育成を通じた紛争予防及び社会安定化」事業が完了しました。事業を通して学んだ知識がどのように活用されているのか、ソマリアの女性に話を聞きました。

ナジャは、ラクダ、ヤギ、羊のミルクを売って12年になります。彼女は離婚してから、8人の子どもたちを養うために働いてきました。ソマリアの社会では昔から、農村で動物の乳を搾って町の市場で売ることは、女性の仕事です。ナジャの顧客はボサソの町に住んでいて、中東から輸入されたパウダー状のミルクより、地元で作られた新鮮なミルクを好みます。ソマリアの乳業は、ナジャのような女性が支えているのです。

ナジャは小学校しか出ておらず、事業を立ち上げるための資本もなく、数えきれない困難に立ち向かってきました。例えば、暑い中、ミルクを冷たく新鮮な状態に保つ道具がない、へき地の村から町へミルクを運ぶのに道路が整備されていない、ミルクの衛生状態を保つための知識がない、などです。これまでナジャは、ミルクをふたのないバケツの中に入れ、長い距離を運ばなくてはなりませんでした。ふたが開いたままではミルクの中にほこりや虫が入り、汚染や食中毒を招きかねません。

ソマリアNajax.jpg  毎日市場でミルクを売っているナジャ(左)

乳業に従事する女性が日々直面している問題を解決するために、JCCPと現地提携団体の紛争暴力予防研究所(OCVP)は、UNOPSから助成を得て、2016年6月に食品衛生と安全管理に関する2日間の研修を行いました。「私には顧客の健康に責任があります。販売するミルクを清潔な容器にいれ、安全に保たなければならないのです。」ナジャは研修で得た知識を、すぐに実践しました。「プラスチック製のミルク容器は、熱湯と洗剤を使って洗います。木製の容器は、まきを燃やして殺菌します。ミルクがスモーキーな味になり、お客さんにとても人気です。」実際に研修のあと、顧客数も売り上げも増えたと言います。

興味深いことに、いつもナジャと並んで座ってミルクを売っている女性たちが、ナジャの新しい習慣をまねしはじめました。「彼女たちは、私が取り入れた高度なミルクの保存方法に感心し、同じことをするようになりました。」ナジャは、自分が研修で得た技術を娘や姉妹、地域の友人や近隣の人に伝授しました。ナジャは、自分の力で子どもたちに必要なものすべてをまかなえるようになりたいと望んでいます。「私は、もっと収入を得て、これまでの借金を全て返したい。そして自分の事業を拡大し、もっとたくさんのお客さんに安全なミルクを提供したい。」ナジャの将来の夢は、娘が仕事を手伝ってくれて、一緒に事業を拡大していくことです。ナジャは今、自分の仕事に誇りをもって働いています。