*「紛争の被害者を平和構築の担い手に」JCCPはアフリカ・中東の平和構築を支援する認定NPO法人です。

スマートフォンで紛争予防に挑戦:土地を巡る紛争に関する現地調査

<2014年4月掲載>

JCCPは2013年11月~12月にかけて、紛争暴力予防研究所(OCVP)∗を支援し、ソマリランドの土地所有権や土地を巡る紛争についての基礎調査を実施しました。本調査は、ソマリランドにおける土地紛争の増加を受け、今後の効果的な事業策定や政府の政策立案を支援する為に計画されました。


DSC00220.JPGスマートフォンを使ったアンケート調査OCVPが行ったフィールド調査では、ソマリランドの5つの街(Salaxley, Borama, Hargeisa, Oodweyne, Gabiley)の住民(各都市約100名ずつ、計513名)を対象とし、アンケート調査を行いました。加えて、現状と課題をより詳細に把握する為、各都市でフォーカス・グループ・ディスカッション (FGD)∗と情報提供者への個別インタビュー(KII)∗も実施しました。
FGDでは、若者や女性、部族の長老といった同じ属性を持つ特定の集団ごとに議論の場を設け、それぞれに特有の意見や考え方等の貴重な情報を入手しました。KIIでは、長老や宗教指導者、土地問題の専門家といった関係者20名に詳細な聞き取りを行い、問題の背景や本質の把握に努めました。

アンケート調査では、スマートフォンによるデータ管理を導入しました。
スマートフォンの操作に慣れるまでに時間がかかる等、新しい取り組み故の課題にぶつかりましたが、データ収集の効率化が図られ、データ入力時のミスや漏れが減少しました。

調査の結果から、これまで必ずしも明確でなかった土地所有権の概念や土地管理体制、土地と紛争の関係性が明らかになり、土地紛争を予防する為の具体的な提言がなされました。提言の中では、体系的な土地管理法の必要性が指摘され、実際に紛争解決の役割を担う機会の多い氏族のリーダーや宗教指導者に対して、紛争管理研修を実施することが効果的であると示唆されています。
本調査の結果は、今後の事業策定や政策立案に活用される見込みです。
IMG_0625.JPGスマートフォンの使い方を学ぶ調査員たち

*紛争暴力予防研究所(Observatory of Conflict and Violent Prevention, OCVP)
OCVPは、研究活動や教育を通してソマリアの平和構築・治安維持・持続可能な開発を推進する現地機関。2009年に設立され、国連開発計画(UNDP)やJCCP等の国際NGOと協働し、効果的な政策立案の為の調査分析や平和教育に取り組んでいる。

*フォーカス・グループ・ディスカッション(Focus Group Discussion, FGD)
定性調査によるデータ収集方法のひとつで、ある目的に対する情報を収集するために、女性や若者、ビジネスパーソン、宗教指導者、長老といった同じ属性を持つ特定の集団ごとに議論を行い、情報を聞き出す。グループダイナミクスの応用により、単独インタビューでは得られない奥深くそして幅広い情報内容を引き出すことが可能。今回のFGDではIMG_0647.JPGディスカッションに参加する長老たち、各グループが、10名で構成された。時間は60分~90分ほど。


*情報提供者への個別インタビュー(Key Informant Interview, KII)
中核となる情報提供者に対する個別面談による聞き取り。情報提供者とは、研究対象となる社会の一員であって調査者が知りたい事柄に精通し、概念や具体的事例などに関して的確な表現できる人のことを指す。調査分野の大まかな枠組みの中で自由にかつ臨機応変に質問を行って、情報提供者や彼らに代表される地域の人々の考え方、価値観、意見などを引き出し内容を深めていくインタビュー手法。今回は、地方の市長や行政官、宗教指導者、長老、土地管理法の専門家など20名にインタビューを実施した。                ソマリア地図ver5_20140401.pdfOCVPが調査を行ったソマリランドの5つの街