*「紛争の被害者を平和構築の担い手に」JCCPはアフリカ・中東の平和構築を支援する認定NPO法人です。 

早期警戒・早期対応Early Warning and Early Response: EWER)

警察官ジョージの体験談:住民から信頼を得て

ナイロビ市のキアンビウ・スラムには、警察署がありません。近くのイースリー地区という隣国ソマリアからの移民や難民が多く住む地区から、ときどき警察官がパトロールに来ます。ジョージは、そのイースリー地区の警察署の署長で、キアンビウ・スラムを担当しています。

イースリー地区の治安は不安定で、様々な犯罪が起こります。イースリー地区からほど近いキアンビウ・スラムも、ギャングや不法移民に隠れ場を提供しているとみなされています。実際に2014年にソマリア生まれの不法移民が武器などの危険物をキアンビウ・スラムに持ち込んでいたことから、ケニア政府はキアンビウ地区への警戒を強めました。

しかし、警察だけで治安を改善するのは困難です。例えば、住民が警察に対して不信感をもっていると、なかなか協力を得られません。犯罪が起きた時に情報収集が十分できないだけでなく、住民が容疑者をかくまう可能性もあります。また、建物が込み入ったキアンビウ・スラムには抜け道が多くあり、犯罪者が容易に逃走できてしまいます。

そこで、JCCPは毎月、警察や他の治安関係者が集まって話し合う場を設けました。集会では、他の治安改善を目的とする団体や地域指導者たちと情報を共有しています。ジョージにとって、この場に集う人たちは重要な情報提供者です。ジョージや他の警官は、機微に触れる情報の取り扱いには十分注意し、情報提供者を保護するために細心の注意を払っています。

ジョージはまた、今までの警察に対する不信感や恐怖心を払拭することに成功しました。JCCPが主催した地域住民を交えたフォーラムで、警察の仕事について丁寧に説明したのです。これは住民から理解と信頼を得る最良の機会となりました。その後「住民が自ら積極的に行動を起こすようになった」と、ジョージは住民の変化を実感しています。警察は、住民や治安関係者と協力することで、今まで得られなかった情報を集められるようになりました。「最近、住民からの通報により、スラムに隠れていた3人のギャングを捕まえた」とジョージは誇らしげに語ります。

ジョージはさらに、警察官がキアンビウ・スラムの学校で、子どもたちに安全指導をすることを提案しています。子どもたちが通学中に武器の運び屋や薬物の売人にならないかと誘惑されて、利用されることがあるのです。「そういう状況でどう身を守るか、子どもたちに教えることは有効ではないか。」ジョージはより良い未来のため、今日も警察官としての職務に励んでいます。

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他の治安関係者との集会に参加する警察官のジョージ