*「紛争の被害者を平和構築の担い手に」JCCPはアフリカ・中東の平和構築を支援する認定NPO法人です。 

トルコ事業
シャンルウルファ県における女性のエンパワーメント

現地の課題・事業を行う背景

 2011年3月以降発生したシリア内戦の影響により、トルコ共和国で避難生活を送るシリア難民は2015年7月の時点で180万人以上に達しました。特にシリアと国境を接する南東部のシャンルウルファ県は非常に多くの難民が流入しています。同県に流入した難民は生計を立てる十分な手段を持たず、収入のほとんどを家賃や光熱費、食糧に費やし、身の回りの衛生を保つ基礎的な日用品を購入することができていません。また言葉や文化の違いが壁となり、シリア難民とトルコ人との間で摩擦や確執が増え、両者の間で不安が広がっていました。

 こうした状況の中、シャンルウルファ県の女性文化センター(WCC)は、脆弱性の高いトルコ人やシリア人女性達を対象に様々なプログラムを提供し、両者の交流の場になっています。同県シヴェレク郡にも、WCCが一か所ありますが、昨今の大量の難民流入から施設や職員のキャパシティ不足が顕著となり、十分なサービスを提供できずにいました。

シヴェレク地図r2.png左:シヴェレクの地図 シヴェレクの女性文化センター のコピー.JPG右:シヴェレクの女性文化センター

本事業の取り組み

 こうした背景から、本事業では、2015年9月11日~2016年4月30日までシャンルウルファ県シヴェレク郡で物資の配布とWCCの強化を通じて、特に脆弱性の高いトルコ人とシリア人女性の基礎的なニーズを満たし、彼女たちの保護の促進することを目指しました。

活動

3つの活動 のコピー.JPG

① 基本的なニーズを満たす物資配布

 社会的・経済的困難を抱える脆弱性の高い、シリア難民女性とトルコ人女性150名を対象に、物資配布を行いました。石鹸、洗濯用洗剤、シャンプー、生理用品、歯ブラシなどの生活衛生に係る物資を配布することで、彼女たちの生活環境が改善され女性達の自立と尊厳を促すことを目指しました。

② 女性文化センター施設の改修

 シヴェレク郡の女性文化センター(WCC)の施設は、老朽化のため8部屋中4部屋しか使われていませんでした。そこでWCCが地域の女性達により多くのサービスを提供できるよう、施設の修復・補充を行いました。利用されていない4部屋をWCCが提供するプログラムの会場として活用できるようにすると同時に、電気配線や水回り、その他老朽化が目立つ施設内の箇所を修復することにより、女性達が安心して通える施設を目指しました。

③ WCC職員等の能力強化研修の実施

 WCCで働く職員やボランティアは、暴力を使わずに問題を回避・解決するためのコミュニケーションに関する知識や技術を十分持ち合わせておらず、トルコ人女性とシリア人女性間の関係づくりに十分貢献できていませんでした。そこで、JCCPがWCC職員とボランティアら20名を対象に、「コミュニケーション研修」を行い彼らの能力強化を行いました。その後彼らが講師となり、物資配布対象者であるトルコ人およびシリア人女性計150名を対象に「コミュニケーション啓発」を実施し、彼女たちが日々のトラブルを自ら回避しながら適切なコミュニケーションをはかり、良好な人間関係を築くことができるようコミュニケーション能力の向上を目指しました。

最終目標と成果

 本事業は、トルコ共和国シャンルウルファ県シヴェレク郡で、シリア難民およびホストコミュニティ住民の両者が多く集う女性文化センターの強化を通じて、特に脆弱性の高い女性の基礎的なニーズを満たし、女性の保護を促進することを目標としました。

 WCCで働く職員やボランティアの能力強化を集中的に行うことで、彼らのコミュニケーション能力および指導能力が強化され、脆弱性の高い難民やホストコミュニティ女性に対する支援活動が継続されていくことが期待されます。またシリア人とトルコ人女性達への啓発を通じて、彼女たち自身が日々抱える問題と向き合い、それらを自発的に行動し回避・解決していけるようオーナーシップの醸成を図りました。こうした活動による交流は家族や近隣住民、WCC職員らとの継続的な人間関係改善を促しました。

啓発を受講する女性達.JPG        コミュニケーション啓発の様子

助成元:ジャパン・プラットフォーム