*「紛争の被害者を平和構築の担い手に」JCCPはアフリカ・中東の平和構築を支援する認定NPO法人です。

南スーダン 
ストリートチルドレンは、なぜ生まれるのか?

<2012年10月掲載>


20121005_pickup南スーダン.jpg 南スーダンの首都ジュバの周辺には、とても多くの子どもや若者たちが路上で生活しており、JCCPは2010年から彼らへの支援活動を続けています。JCCPは、直接にシェルター(簡易住居)や職業訓練の機会を提供するほか、ジュバで同じようにストリートチルドレンの問題に取り組む現地NGOや現地政府との情報交換や共同事業を通じてネットワークを強化し、より包括的かつ効果的な支援を目指しています。

 そのために重要なのが、私たちが支援をする子どもたちの状況を的確に把握することです。今年の初めに、デンマークの国際NGOがジュバの100名以上のストリートチルドレンに聞き取り調査を行ったところ、半数以上が「家はあり、保護者はいるけれど、路上で暮らしている」と回答しました。

 JCCPは、こうした子どもたちの家庭背景にさらに迫るため、今年9月に、子どもたちの家庭を訪問して聞き取り調査を行いました。まず、JCCPが普段の活動で行っているように、路上で生活する子どもたちに話を聞き、家族がいると答えた子どもの家を訪問し、1件あたり約2時間のインタビューを、33家庭に対して実施しました。JCCP南スーダン事務所の職員のほか、現地NGOであるストリート・チルドレン・エイドのスタッフ、南スーダン政府社会開発省の職員も調査員として一連の調査に参加しました。

 長いインタビューを通じて、子どもたちの先にいる両親や家族が抱える根本的な問題が浮かび上がってきました。

 8歳の男の子サントは、家を出て路上で暮らし、市場の残飯を他のストリートチルドレンたちと一緒に探し回る生活をしています。まだ幼くて仕事にも就けないなか、自分で食べ物を探して生きています。

 サントの母親であるジョゴ(34歳、女性)は、家庭内暴力を振るう夫に家を追い出され、2004年に夫と離婚し、仕事を求めて郊外のムルチ村から首都ジュバに3人の子どもと移って来ました。酒の醸造や落花生の皮むきの仕事をしていますが、収入は1日に20南スーダンポンド(約580円)程度。物価が高いジュバでは、家を借りることも、子どもたちを学校に通わせることもできないどころか、食べ物も十分に与えられずにいます。スラム街にある共同墓地で寝泊まりをする生活ですが、南スーダンでも、墓地には死者の魂が出ると信じられており、子どもたちは家を出ることを選んだのです。

 別の少年サミュエル(男子、13歳)も、家にいても食料がないため、日中は市場のレストランの残飯をもらって空腹をしのぎ、ゴミ捨て場から空のペットボトル容器を拾い集め、それを売ってお金にしています。そうすることで、家族の収入の足しにしなければならない背景があるからです。 

 サミュエルの父親のアンジェロ(32歳)は、奥さんと4人の子どもを持ち、現在、首都ジュバにて医療助手になるための訓練を受けています。大工や精肉など不定期の仕事を通して収入を得ていますが、学校の授業料も払えないため、子どもたちは学校に通っていません。成長期の子どもたちが、一日中何も食べられずに過ごすこともあります。家や土地もなく、家族全員が家畜のヤギと同じ場所で寝泊まりしています。

 これらは、調査で明らかになったことのごく一部で、このほかにも紛争の爪痕から発生する問題は多数あります。戦争で家族を亡くしてしまった子ども。両親ともに元兵士で、現在は無職という家庭。貧困と生活の苦しさから、質の悪い違法酒を飲んで暴力を振るう親から逃れて路上に済む子どもたち。

 同じストリートチルドレンの家庭でも、それぞれの家庭が抱える問題の種類と根深さはさまざまです。今回の調査結果は現在分析中ですが、具体的な現状把握ができるほか、子ども、家族、コミュニティごとに必要な対策を考えるうえで重要な情報となります。

 今回の調査に参加した南スーダン社会開発省は、「JCCPの調査は省内でも話題になっている。本来なら政府が実施すべき支援を、JCCPなどのNGOに肩代わりしてもらわざるを得ないことにもどかしさを感じる半面、深く感謝している。報告書が完成次第、どの団体がどんなアクションを取って問題解決していくかを関係者と議論したい」と話しています。

 ジュバのストリートチルドレン問題は根深く、ひとつひとつのNGOにできることは、一握の砂のようなものです。組織を超えて同じ問題に取り組む者同士が協力し合うことが不可欠です。この調査をきっかけとして、浮かび上がってきた課題を政府関係機関やNGOのあいだで共有し、今後、どのような支援ができるか、ともにアイデアを出しあっていく予定です。